遠野物語 怪談
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遠野の怪談vol.1 「人魂」

遠野で<人魂>、あるいは<火の玉>を見たという話を別々の二人の方から聞いた。
その2つの話を紹介したい。

 

消防団の訓練中に

一人は50代の男性のTさん。

その日Tさんは遠野市内のとある企業の駐車場で消防団の訓練をしていた。
訓練中にふと不可解なものが宙を漂っているのが目に入った。
それは橙色の炎の玉、すなわち火の玉だった。

「あれ、なんだ?」

そう周囲に声をかけようとした瞬間に、訓練開始の合図があり、それどころではなくなってしまった。

訓練が終わってから、仲間に先ほど見たものについて話すと、近くにいた知人一人が全く同じものを見ていたことがわかった。

人魂

見間違いじゃなかった。
あれが人魂というものだったのだろうか。

それから数年が経ちTさんはこの出来事をSNSに投稿した。
すると、遠野市内で同じように人魂を見たことがある人が2~3人ほどコメントしてくれたという。

遠野では人魂目撃談が多いのだろうか。

家の中に浮かぶもの

次に私が人魂の話を聞いたのは 60代の女性Nさんである。

彼女が人魂らしきものを見たのは、家の中だった。

30年ほど前、当時Nさんは幼い娘さんたちと一緒に遠野市内の借家に暮らしていた。
ある日、夜中にトイレに行きたくなり目を覚ました。
トイレで用を済ませ寝室に戻ると、寝室に立てかけてある鏡に不思議なものが写っている。

それは、青白く光る火の玉のようなものだった。

「え?」

そう思って寝室を見渡しても、そのようなものは浮かんでいない。
もう一度鏡を覗くと、やはり部屋の真ん中に青白い火の玉が浮かんでいる。

カーテンは閉まっているし、それらしい光源はない。

Nさんは、ふとその火の玉が浮かんでいる所へ手を伸ばしてみたい衝動に駆られた。
しかし、何かが起きそうで怖くて、布団にくるまり朝が来るのを待ったという。

翌日、Nさんが在宅していると玄関のチャイムが鳴った。
戸を開けると、この家を仲介してくれた人が立っている。

「実は、昨日この家の持ち主が亡くなってね。申し訳ないんだけど、そこの小屋で葬式をあげさせてもらえるかい」

その話を聞いてNさんはハッとした。

昨日私が見た火の玉は、この家の持ち主だったのだ。
本当であれば、この母屋で葬式をあげてほしかったのだけど、私たちが住んでいるせいで隣接した小屋になってしまったことを恨めしく思っているのだろう。

そう考え、ゾッとしたそうである。

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